ほか二隻の同名船をもつ。巡視船とかち(五二七総トン)は十勝川から。
*帳尻岳
*後志羊蹄山(しりべしようていざん)蝦夷富士と呼ばれる羊蹄山のことだが、深田氏は便宜的な略名を好まず、山の名は昔からのものを尊重して歴史的な名を採っている。
洞爺湖に遊覧船羊蹄(三四六経トン)が浮かぶ。旅客定員六三九人。
羊蹄丸という船は二隻あるが、アサヒライン所有の羊蹄丸一九七四総トン)は冷凍運搬船でマルハが定期用船している。もう一隻の羊蹄丸(一九六総トン)は、室蘭港の曳船である。
東京港で船の博物館になったのは元青函連絡船の羊蹄丸(全長一三二メートル)。航路廃止後、船の科学館に引き取られ、平成四年にジェノバで開催された「国際船と海の博覧会」で日本初のフローティングパビリオンとして展示された。
*岩木山
*八甲田山 明治三十五年の雪中行軍遭難で有名。前岳、田茂萢岳、赤倉岳、井戸岳、小岳、高田大岳、石倉岳、大岳が北八甲田、群山、横岳、櫛ケ峰、駒ケ岳、乗鞍岳、赤倉岳が南八甲田といわれる。
十和田湖の遊覧船で十和田観光電鉄が運航する第一八甲田(二八八総トン)、第二・第三も同名船。八戸には税関の監視船八甲田(二八総トン)もいる。青森港で青函連絡船メモリアルシップとして余命をおくるのが八甲田丸。
*八幡平
*岩手山 啄木の詩で知られる。深田氏は「雄偉にして重厚、東北人の土性骨を象徴するような山」と語る。
岩手県の漁業調査指導船に岩手丸(一五八総トン一がある。平成二年の進水で釜石船籍。
*早池峰 特産のハヤチネウスユキソウはアルプスに咲くエーデルワイスに似ている。
第三はやちね(二七総トン・FRP製・昭和五十九年進水)、はやちね(五一総トン、アルミ製・平成四年進水)とも岩手県の漁業取締船で釜石船籍。陸中海岸を密漁防止のため走り回っている。
*島海山秋田と山形の県境にそびえるこの出羽冨士は東北の最高峰(二、二三七メートル)でもある。
山形県立加茂水産高校の漁業実習船鳥海丸(四五二総トン)は酒田船霜。マグロやイカ釣り用の漁労装置を備える。平成三年進水、植崎造船建造。
秋田海上保安部配属のPLちょうかい(九五九総トン)や唐津船籍の産業廃棄物船第一鳥海(四七六総トン)の由来は確認できていない。
*月山(がっさん)「その山を仰ぐ平野の人々が彼等のもっとも尊崇している農業の神、月読尊(つきよみのみこと)を飼ったから」月山というそうだ。
岩手・宮古海員学校に月山(四三総トン)という実習船がある。初めは単純に山形にある月山(一、九八○メートル)から採られたと思っていたが、どうも腑に落ちないでいたところ教えてくれた方がいた。宮古湾の東の方にも月山(四五六メートル)という山があるんだ、と。
*朝日岳 わが国には朝日がつく山が大変多いという。それと同様朝日丸(番号除く)も二四隻ある。他に、あさひが三隻、あさひ丸が六隻あった。朝の光りから命名したものがほとんどだと推測する。朝日連峰からの名付けは新潟船籍で運輸省(港湾建設局)所有のあさひ(二二総トン)ほか一−二隻くらいか。
*蔵王山「陸奥(みちのく)をふたわけざまに聲えたまふえ/蔵王の山の雲の中に立つ」と茂吉が歌ったこの山は「独立孤高の姿勢がない」山でもある。山名由来は蔵王権現からきているそうだ。
蔵王丸(二、二二九総トン)は塩釜船籍のセメントタンカー。船主は興和海運。
ざおう(三、二四五総トン)は塩釜海上保安部のヘリコプター一機搭載型の巡視船。邊見正和著「海上保安庁巡視船の活動」によれば、この型は一番船のそうや以来つがる・おおすみ・うらがと海峡や水道名が命名基準だった。
ところが本船の配属先である宮城県沖には金華山水道だけしかなく、やむを得ず塩釜周辺で最も有名で、船名に適したものを探したところ蔵王が選ばれた。以後、同型船の命名基準に山の名も加えられたが、既にPS型にあることから今のところこれ一隻である。
次回もつづく。
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